相続・遺産承継

2023年8月22日 (火)

「補助人用」のスタンプがなかった【成年後見】

20230608_171635456-1被補助人さんの不動産売却。売主さんの法定代理人として、売買契約書にサイン。

専用のゴム印を作っていたはずが、「成年後見人」と「保佐人」用はあるものの、「補助人」用がなかった。判断能力の衰え具合、一番程度が軽いとされる「補助人」への就任は、今までの就任40数件中、おふたり目になります。

継続でのご相談と、新規のご相談が1件ずつ。
空き家の3000万円控除を使われる余地を残すのであれば、このような方法での相続登記はどうか、というご提案もしました。

こういうのは、実例。自分の事務所の経験に基づいて、お話しさせてもらいます。

お電話での問い合わせも続きます。
時間外のご希望。「今」だけを考えると、お受けできるのですが、後々キャパオーバーを起こさないよう、お断りさせてもらっています。

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2023年8月 7日 (月)

遺言書の作成を銀行に相談しない

020503_20230807201001相続手続きの中での、小規模宅地の特例。基本的な部分がやっと理解できるようになったので、お客様が決められていた不動産の分割方法、ちょっと待ってくださいとお話ししていました。

余計なお話かなと思う場合でも、申し上げるかどうかは、時と場合によります。本当に余計な話になることもあれば、ああ、言ってくれてよかった、と思って下さることもあるでしょう。そして、税理士さんに同行してもらって、検証してもらいます。

例えば、一筆の土地の上に、相続人Aさん、相続人Bさんの建物が立ってるような場合も、ちょっと待ってください、でした。

これは、銀行が遺言書を書かせて、土地は「持分で相続させる」とさせていましたが、そんなことをしたら、後々面倒なことになるのが、目に見えていました。

この時は、銀行のやり方に抵抗し、ご本人が後日、自筆で遺言書を書かれていたので、銀行が遺言執行者を辞退してくれました。銀行が作らせる遺言書は、残念ながら「作らせること自体」に意味があることなので、遺言書の作成を銀行に相談したらいけない、です。

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2023年8月 1日 (火)

後になってポロっと出てくること【相続手続き】

20220802_134218550-1 相続の手続きが完結したので、書類のご返却。

正確には、まだ役所からの還付金が残っています。年金で引かれた前提で還付金の通知が来ているけれど、未支給年金を受け取れる方がいないので、その期の年金は受け取れない。そんな場合の清算は、どうなるのか。

役所の答えは、「年金事務所からの連絡に対応するだけなので、分かりません!」でした。

相続の手続きで恐いのは、清算後になって、ポロっと何かが出てくることです。

最近も、カードの年会費が来た時は焦りましたが、「亡くなられているということなら、支払いは結構です」と言ってもらえて、助かりました。携帯電話の通信契約は解約したものの、端末の分割払い分を「一括請求して下さい」という手続きが漏れると、いつまでも端末代の請求が止まらない、ということになります。

「何かあれば自分が払います」と言って下さるような、相続人さんがいらっしゃればいいですが、関係が良くなかったりすると、なかなか簡単な話ではないです。

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2023年7月12日 (水)

法定相続情報証明の係でブレーキ【相続手続き】

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三菱UFJ銀行に、後見人就任の届出。

いつもならテレビ電話のブースで、センターと繋がれるところ、今回は「同時に解約」と伝えていたため、解約届1枚の記載のみ。20分程度で完了。

後見人は、就任報告を提出するまでは、急迫の必要のある行為しかできない、とされていますが、「長期間利用無し&口座残高がわずか」のため、同時に解約としています。

相続登記と一緒に法定相続情報証明の申請をした案件。

相続登記は、完了予定日が1週間先。
法定相続情報証明は2週間先のため、必然的に相続登記の完了が2週間先になります、と電話かかってきました。

「便利に相続手続きができる」はずの制度。国の方向性に、現場が付いていけてないことの一例。

公証役場からは、遺言書作成の予約を入れられるのは1か月先、と言われています。なおかつ、「書類が揃ってからの予約」とのことなので、お客様からの印鑑証明書をお待ちしているところです。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所相続サイト「法定相続情報証明制度」

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2023年7月 9日 (日)

『相続』のライバルは他業種の可能性あり

20230108_172943470 最近、特に「相続」がからむキーワードで、民間企業のサイトがネット広告を出しています。

「金融機関が」というのもありますし、「不動産業者が」というのもあります。

司法書士からすると、金融機関に相続の手続きを頼んで、何のメリットがあるのか、と思うのですが、娘さんから「相続の手続きお願いします」と言われていた話、お母さんが「証券会社に頼んでしまった」と聞いて、「え~」となったことはありました。

競合は、他の司法書士、もしくは他士業だと思っていたら、実は、資本力がある他業種だった、というオチもあるのかもしれません。

金融機関に相続届の用紙を取り寄せたら、そこに「遺産承継」のチラシが入っている、ということはあります。相続の手続きをしに窓口に行くと、何を勘違いするのか、司法書士に対して「遺産承継はどうですか」と営業されることもあります。

もっとも、普段から親密な関係を築かれていた結果、「費用が高くてもいいから、金融機関に頼みます」ということになるのであれば、それは士業の関係性の築き方が甘かった、ということになるのかもしれません。

目的が「投資信託の営業」であったとしても、契約関係や交通費もなしに、毎月会いに行って関係性を築く、というのは、士業には無理な話です。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所「遺産承継相談サイト」

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2023年6月26日 (月)

郵便局の転居届が不完全な現実【相続手続】

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施設に入所されている被後見人さん宅の郵便ポスト。

「これでもか」とばかりに押し込まれた広告と共に、正規の郵便物。残念ながら、郵便局の「転居届」は完全ではありません。

転居届に関して、司法書士に身近なところでは、相続手続きと郵便物の問題。

郵便局のQAで、「死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?」の問いに対して、「転送することはできません」「差出人さまに返還されます」とあります。

ところがです。成年後見人をしていると分かるのですが、ご本人の死亡後も送られてくるのは、役所からの還付金や高額医療費のお知らせ。固定資産税や市民税の納税通知書なんかもあります。

もしくは、「交流がなかったのに何で?」ということを聞くのは、死亡届の「届出人」宛てに、送られてくる役所もあるようです。どっちもどっちですが、現実問題として、役所に返されてしまうと、かなり不自由なことになります。

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2023年6月10日 (土)

登記上「相続分の放棄」は困った存在【不動産登記】

020503_20230610202001 「相続分の放棄」は、遺産分割での調停の中では普通に使われている手段だと思いますが、「相続分の放棄」を含んだ遺産分割協議で相続登記ができるのかどうか、についての情報は、ほとんどありません。

そもそも、民法には「相続分の放棄」に関する規定がありません。

しかし、「相続分の放棄」を含む調停・審判による登記であれば、登記研究で「可」とする記事があります。

ある時立て続けに「相続分の放棄」を使ってしまって、どうしようかな~。謝りに行くことになるのかな~と、旅行に行く電車の中でも、ずっと検索していたことがありました。

「家庭裁判所での相続放棄はしない」。「誰かに宛てた相続分の譲渡はしない」。「遺産分割協議にも参加したくない」と言われる相続人さんが、「相続分の放棄証書なら印鑑を押すよ」と言われたら、司法書士としてどうすればいいのか。

そんな場面に遭遇すると、司法書士として、とても困ったことになる、というのが実情です。「相続分の放棄は困った存在」という話、コラムにまとめました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所「コラム 141相続分の放棄を含む遺産分割に基づく相続登記」

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2023年6月 7日 (水)

相続登記の内容が複雑になる傾向【不動産登記】

Camerazoom20200814115026142 相続登記の報酬基準は、かなり細かく設定してあるつもりですが、相続登記の内容が複雑になる傾向にあります。

例えば、
・物件によって、被相続人が違う
・物件によっては、相続による所有権移転ではなく、保存登記になる

いずれも、亡くなられてから年月が経っているから生じることで、「相続登記の義務化」というのは、少しずつ浸透してきている感じです。

一方では、長期相続登記未了作業により、法務局から通知が送られて来た方の、相続放棄もお受けしました。亡くなられてから相当な歳月を経て、代を遡っての相続放棄でしたが、家庭裁判所で受理されています。

相続で承継した土地を、国に引き取ってもらう制度も始まっていますが、山林でも農地でも、処分費用を払うこと条件に「お気軽にどうぞ」というくらいの制度にしないと。「最後は国が引き取るので、相続の手続きはしなさい」くらいの制度にしないと、やっぱり、相続できない土地は相続できないまま、になる気がしています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所相続サイト「相続登記に必要な費用」

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2023年6月 4日 (日)

司法書士から見たリバースモーゲージの諸問題【相続手続】

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リバースモーゲージのCMや広告を見ると、明るいイメージしかなくて、デメリットが見えづらいです。

不動産を担保に借り入れし、亡くなった時に不動産を売却して、借入金を返済する。「豊かな老後を過ごしましょう」というのが、リバースモーゲージのシステムですが、残念ながら、返済の手続きをする時には、契約者の方は亡くなっています。

司法書士である私自身も、リバースモーゲージ契約中の方が亡くなった時に、何がどうなるのか具体的にイメージしたことがなかったのですが、何のことはない、普通の相続手続きを踏むことが必要、ということを知りました。

「知りました」というのはおかしいのですが、リバースモーゲージというのは、なんか特別な、魔法の杖のようなシステムがあるんじゃないか、というイメージを持っていたのです。

借りたお金を返済をするには、自宅を売却しないといけない。売却するには、相続登記をしないといけない。売却をするには、諸費用も必要だし、場合によっては、譲渡所得税を払わないといけない。負担を被るのは自分ではなく相続人。

司法書士から見たリバースモーゲージの諸問題。コラムにまとめました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所「コラム107 リバースモーゲージで借り入れがある時の相続手続き」

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2023年5月31日 (水)

相続手続きの流れ(不動産売却&金融資産編)

20230531完了に近付いている遺産承継業務。相続人の皆さんにお送りする、不動産と金融資産の資料を整えていると、かなりの分厚さになりました。

司法書士が管理させてもらっていた資産・帳面と、相続人代表の方が管理されていた資産・帳面を最後に合体。全体として、法定相続分どおりの計算になるよう、調整させてもらいます。1円の端数の行方まで、気を配ります。

家財道具の処分あり、不動産の売却あり。

相続税の申告は不要でも、来年の譲渡所得申告用の資料は、相続人共通のものとして、税理士さんに作ってもらいました。不動産は、換価分割する旨の遺産分割協議による売却のため、譲渡所得の申告が必要な方に限り、相続人さん各自に申告してもらいます。

専門家同士が連携を取れると、とても進めやすいですし、結果として、お客様のメリットにつながると思っています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 遺産承継サイト「相続手続きの流れ~不動産売却編」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 遺産承継サイト「相続手続きの流れ~金融資産編」

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