司法書士という仕事

2024年11月10日 (日)

『発達障害に生まれて(松永正訓著)』

Pxl_20241110_094716046mp 『発達障害に生まれて(松永正訓著)』は、未読のまま、本棚にあった本。

先週紹介した『開業医の正体』の中で、題名が出て来たので、もしかしてと本棚を探してみた。同じ著者でした。

この本が深みを出しているのは、著者は医師である「私」であるものの、「母」から聞き取った話を、「母」の視線で、自閉症である勇太君のことと、「母」の心の動きを赤裸々に語られている部分。その「母」は、特別支援学級の教員資格を持っている、という背景もあります。

「障害」の「害」の文字を使う理由など、専門家のフィルターを通して語られているので、伝わり方が違います。

「子供は親を選んで生まれてくる」という話は、本当にその通りと思うしかありません。但し、教員資格を持っていることと、自分が親になることとは全く違う。母の気持ちの変化も、リアルに伝わります。

成年後見制度の話も、出てきました。

私の事務所でも、難病を持つ兄妹の後見人をお受けしています。我々のほうが年長になります。役所の手続きも、何種類もあって複雑。この本に書かれているように、「信頼できる後見人に出会えた」と、ご本人とお母様に思ってもらえる存在で、居続けないといけません。

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不動産の財産分与にまつわる税金の知識【不動産登記】

Pxl_20241110_063705240コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」を更新しました。

先日も書きましたが、司法書士は、税金の相談には応じられません。

但し、不動産登記の依頼が目の前にあって、「贈与税は、どうなんですか」「不動産取得税は、どうなんですか」と聞かれた場合、「ごめんなさい。司法書士なので知りません」では話にならないため、基本的な知識は、持ち合わせておく必要があります。

不動産取得税に関しては、財産分与の登記が終わった後、大阪府税事務所から「次の要件に該当する場合、課税の対象外になります」という案内文が送られることがあるようです。

戸籍謄本と登記事項証明書を提出し、不動産が婚姻中の取得であり、かつ、慰謝料目的でなければ、不動産取得税は課税の対象外。但し「申出がなければ課税します」とされています。

贈与税に関しては、「離婚の日から2年経過した財産分与は、贈与とみなされる可能性がある」という情報が、ネット上で散見されます。本当なんでしょうか。

私が税務署で聞いた事例では、2年が経過していても「原因が財産分与なら、財産分与と扱います」という回答を得ています。別便で、依頼者の方にも、聞いてもらいました。それと、コラムをまとめていて、「2年」とされている期間(民法768条Ⅱ)が、「5年」に改正されることが決まっている…ことを知りました。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム43「離婚に伴う不動産の財産分与と税金」

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2024年11月 9日 (土)

「挨拶回り」や「飛び込み営業」は必要なのか【事務所運営】

Pxl_20241107_231819227mp 土曜日の連載、過去を振り返る話。時計の針を少し戻して、平成14年7月。4年と9か月の勤務経験を経た私は、三国ヶ丘駅前のワンルームマンションで、独立開業しました。

『開業の案内』を郵送したところ、「ちょうどよかった」と抹消の依頼がありました。7月1日に申請した商業登記があったので、「やることなし」状態ではなかったものの、「経費をどうやって賄うか」という、マイナスの思考しかありませんでした。

先輩から回してもらえた仕事。それと、月1回、有志で開催していた無料相談会から、仕事は少しずつ入ってきました。

JCからのお誘いもありました。集会に参加はしてみましたが、面倒くさいなという記憶しかありません。

メインは、ホームページ経由のお仕事です。「金融機関や不動産業者には近付くまい」と決めていました。

大学の会報で取材してくれた時の記事によると、「7月から11月まで14件の相談があった」と書かれています。債務整理を扱う司法書士、ホームページを持つ司法書士がまだ少数派だった時代で、見えないところで、追い風は吹いていました。

多くの人が、仕事を得るために、最初は「いろんなところに顔を出す」とか、「飛び込みでの挨拶回り」と書かれています。今の私が開業前の状態だったら、「そんなことしたくない」と絶望するでしょう。でも、嫌なお付き合い、営業回りみたいなことはせずに、あれから22年が経過。今に至っています。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所メインサイト「事務所の歴史 第1章創業期」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所 コラム040「営業行為」をしない司法書士事務所

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2024年11月 4日 (月)

『開業医の正体』(松永正訓著)

Pxl_20241104_093258003mp『開業医の正体』は、開業司法書士として参考になることがあると思って、手に取りました。

本から一番伝わったのは、「経験が大事」ということ。ブラックな勤務時代の経験があるから、量をこなしてこられているから今がある、ということです。

司法書士試験の合格者の平均年齢が上がって、勤務経験を経ない「即独」が増えているかもしれないとすれば、段階踏んで進んでも、遅くはないと言いたい。

「つまり開業医は、それまでの自分の経験と知恵を売り物にしている仕事である」「人生経験豊富な医師は、家族の問題を解決する経験値がある。ぼくなど、まだまだ鼻垂れ小僧だ。人生の深みを知るのはこれからだ。」(以上、いずれも本書の表現のまま)

19年大学病院に籍を置き、開業18年の著者が「鼻垂れ小僧」ならば、どこまでやれば『経験豊富』の境地に立てるのか。

司法書士も同じで、毎年法律が変わって、毎年新しい制度ができて、そんな中、結局は「人」を相手にするお仕事なので、どこまでいっても「これで十分」と思えることはない。そう考えてやっています。

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2024年11月 3日 (日)

『日本一稼ぐ弁護士の最強メンタル(福永活也著)』

Pxl_20241103_011924599mp『日本一稼ぐ弁護士の最強メンタル』は、先に読んでいた『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』の各論編のような内容。

法律事務所に就職して、事務所の仕事をしながら自分の仕事をして、東日本大震災の原発被災者となった事業者の支援をした。あれ、こんな話読んだことないかも?と思って読み返すと、先に出された本では軽く流されていた内容が、具体的に書かれていて、著者の生き方が、伝わりやすかった。

「勤めている時に、自分が抱えている仕事を過少申告してでも経験を買う」みたいな考え方は、私になかった。普通の人は、できるだけ楽してお給料をもらえたら、それでよしと思うもの。

「事務員も雇わず、ひとりで長時間労働をする」というのは、私には無理。メンタル以前、ここまでできないし、やる気もないかなと考えると、同業者の中でもいろいろと差が出てくるのが、どうしてなのか、というのも、見えたりします。

「深夜のメールが職員にはプレッシャー」というのは、「休日に私が仕事をすると、職員が逆に疲弊する」のと同じ。今の私の事務所でも同じだから、この話は分かりました。金曜日、せっかく仕事を片付けて帰ったのに、月曜の朝に職場に行くと、仕事が山積みとなると、気持ちが萎えます。

著者の生き方の真似はできないけれど、「ここまでやっている人がいる」というのは、参考になるので、自分が若い時に知っていたら、もっとよかったかなと思いました。

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2024年10月31日 (木)

「こんな司法書士事務所があってもいい」はず【事務所運営】

Pxl_20241031_073846894mp昨日は、一日事務所にいました(堺東の法務局まで、回収に走ったのは除く)。

今日、月末最終日は、後見関係の予定ばかり。金融機関への就任の届出と、被後見人さんらの面会は、3か所で合計6名と。

時々書いていることですが、「こんな司法書士事務所があってもいいでしょう」です。

被後見人さんらの面会も、今月会えてなかったのは1名のみで、最終日にノルマをこなす、感じではありません。逆に言うと、うち5名の方とは、今月2回目(3回目の方もあり)となります。

不動産登記をたくさん扱っている司法書士事務所は、月末&大安となれば、一日の中で、不動産売買の取引を複数抱えます。司法書士の都合を聞いてもらうことなく、日時と場所を指定されることも、珍しくありません。

人によって、求めるスタイル、望むスタイルは違います。だから、「みんなと同じ」を目指す必要はありません。私の場合は、月末も自由に予定を決められる、今のスタイルが快適、というだけです。

司法書士協同組合から、来年の司法書士手帳が届いています。手帳は持ち歩いているものの、予定表は相変わらず白紙(手帳で予定を管理しない)というのも、変わらないスタイルです。

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2024年10月23日 (水)

本人確認情報での『面識あり』は一般的な意味とは異なる【不動産登記】

Pxl_20241023_025407756 今日の売買では、売主さんが権利証を紛失されていたため、『面識あり』で本人確認情報を作りました。

過去にお受けしたお仕事と共に、「2~3か月に一度は電話連絡。年3回以上は義務者の会社や当事務所で面談している」と書きました。

最近思うのは、新規のお客様も大事だけれど、不動産登記で言うところの『面識あり』と言えるお客様が、どれだけ居て下さるかで、事務所経営の安定度も、変わってくるのではないか、と。

司法書士側が、いくら『面識あり』のお客様を増えしたくても、お客様から必要とされなければ、1年以上の継続的なお付き合いはできません。

ちなみに、ここでの『面識あり』とは、一般的な意味での面識(顔見知り)ではなく、「司法書士・弁護士が当該登記の申請の依頼を受ける以前から申請人の氏名及び住所を知り、かつ、申請人との間に親族関係、1年以上にわたる取引関係その他の安定した継続的な関係の存在があるとき(不動産登記事務取扱規則49条(2)」とされています。

「1年以上にわたる取引関係」「安定した継続的な関係」という部分がポイント。

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所コラム48 権利証(登記識別情報)紛失時の「本人確認情報」(不動産登記)

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2024年10月20日 (日)

『司法書士吉田事務所 報酬基準表』

Pxl_20241020_020451832『司法書士吉田事務所 報酬基準表』を改定しました。

ファイルに挟んで、事務所のメンバー分+応接スペース分、用意します。

今まで、各サイトに分散していた情報。事務所に来て下さったお客様に「自分のホームページの料金表を印刷してお渡しする」という不効率なことをしていたのを、エクセル1シートに集約。全業務を網羅した、つもり。

今回は、10月の郵便料金改定に伴って、どうしても書き換えしなければならなかった分+全体的なベースアップを試みました。

いろいろ高くなっています。司法書士業界は「原材料の高騰」という部分に、直接は巻き込まれていないものの、最低賃金が上がっています。スタッフには「きちんとしたお給料を出したい」という思いはあります。

ホームページの書き替えは大変です。『手続き費用一覧表』のページ以外にも、それぞれの業務案内のページにも「うちの費用はこんな感じです」と入れているので、ひと通り目にすることになります。

◎リンク 司法書士吉田事務所メインサイト「手続費用一覧」

◎リンク 司法書士吉田事務所相続サイト「手続費用一覧表」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所後見サイト「サポートメニューと費用」

◎リンク 堺市の司法書士吉田事務所遺産承継サイト「手続き費用一覧」

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2024年10月15日 (火)

三連休が入ってもお仕事の総量は変わらない

Pxl_20241015_041340879三連休明けに届くのは、大量の郵便物。それと、たくさんお電話も入ってきます。

先日はテレビで弁護士さんが、「三連休が多いと、経営的には大変なんです」と言われてたのを見ましたが、幸いにも、入ってくるお仕事の量は変わりません。郵便物の量が変わらないのと同じ。

郵便物が届くのが、月曜日の昨日なのか、連休明けの今日なのか。
お仕事が入るのも、昨日なのか、今日なのかの違い。

ウチの場合は、仕事の総量が変わらない中で稼働日が減るので、事務処理をする側が大変。だったら休日出勤すればいいじゃない、となりますが、私はともかく、職員にそこを求めることはできません。

これの真逆で、「稼働日や営業時間を増やしたら、仕事が増えるのか」と考えると、増えそうな気がしますが、増えません。これは私が試した体験に基づきます。

事務所のキャパを決めているのは、自分たちの能力なので、能力以上のお仕事は入ってこない。ただ疲弊するだけです。

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2024年10月 9日 (水)

市販の手提げ袋にロゴ入りシールを貼ってみた

Pxl_20241009_082745007権利証(登記識別情報通知)返却用の袋。

市販の白の手提げ袋に、事務所のロゴを入れたシールを貼ってみました。

袋のサイズとシールのバランスがおかしいですが、何事も最初はやってみないと分からないもの。

今、ちょうど相続登記が終わって、戸籍謄本等の相続関係書類と、権利証を手渡しでご返却する案件が2つあるので、袋に入れた状態で、待機しています。

とはいえ、こういうのは遊び心でやるもので、袋のデザインにお金をかけたり、袋を作り過ぎたりはしないことです。

「そこ」に価値を見出して、頼んで下さるお客様がいるのであればいいですが、お客様にとっては、保管のしやすさが第一。持ち帰りされるのであれば、持ち帰りやすさも大事。

袋が格好いいから頼もう、袋のデザインが良いから高くてもいい、とは思われないもの、でしょう。

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